第75回 NPO法人
日本口腔科学会学術集会
The 75th Annual Meeting of Japanese Stomatological Society

ごあいさつ

 第75回 NPO法人日本口腔科学会学術集会を2021年(令和3年)5月12日(水)~14日(金)に千里阪急ホテル(大阪府豊中市)にて開催させていただきます。 今回のテーマを「次世代医学のために口腔科学がなすべきこと」といたしました。さらに、コロナ禍での学会の在り方を考える意味から「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に立ち向かう感染対策の工夫や最新技術を紹介する」発展的な学術集会であると考えています。

 日本口腔科学会は日本医学会の分科会であり、1906年(明治39年)の第2回日本医学会総会に「第16分科会歯科」として参画したのに始まり、1938年(昭和13年)以降は「第31分科会」として、日本医学会において活躍する場を与えられました。1949年(昭和24年)には歯科独自の組織として日本歯科医学会が創設されましたが、日本口腔科学会は、長年にわたって日本の医学界における歯科医学を支える基盤学会としての重要な役割を果たしてきました。日本医学会分科会の中では医学と歯科医学の橋渡しの役割を担える唯一の学会として、本学会の存在意義は極めて大きいものです。現在の会員数は4,100名を越え、口腔関連の各専門領域の研究者・教育者・臨床医等から構成されています。そのほとんどは歯科医師ですが、医師や基礎研究者の参加も多く、職種や領域にとらわれない学際的な点が特徴です。

 今回の学術集会では、次世代を担う若手を刺激しようと考えて口腔外科出身の海外で活躍中の研究者にご登壇いただきました。岩田淳一准教授(テキサス大学)と北郷明成准教授(UCLA)に海外留学とその後のキャリアパスについてZoomでディスカッションし、その模様を動画配信します。コロナ禍で海外進出を迷われている方や共同研究を諦めかけている方のために海外から日本の口腔科学研究者にメッセージをいただきます。
Jurgen Hoffman教授(ドイツ国立癌センター・ハイデルベルグ大学附属病院口腔顎顔面外科)にInnovative Procedures in Oral and Maxillofacial Surgeryというタイトルで口腔顎顔面外科領域の先進的な臨床について、大津欣也教授(元英国キングスカレッジオブロンドン、現国立循環器病研究センター理事長)に若手研究者へのメッセージをいただきます。小崎健次郎教授(慶應義塾大学)に先天異常の理解に向けたゲノム研究について講演していただきます。他力野淳社長(バリューマネジメント株式会社)にEO(世界ネットワーク起業家機構)日本代表のお一人として「歴史的資源を活用した観光まちづくり」をテーマに特別講演をお願いしています。おそらく病院やクリニック経営、起業を目指している方は大きな刺激を受けると思います。
「癌」「摂食嚥下」「OSI」「睡眠時無呼吸症候群」「顎変形症」「口蓋裂」「再生医学」「ゲノム・先天異常」等の各分野最先端の演者にお集まりいただき、シンポジウムを企画しております。オリンピック・パラリンピック開催を目指した基礎研究・臨床研究を薬学研究者と大会長が「COVID-19に対する感染制御」としてイブニングセミナーで講演させていただきます。
教育研修会では日本を代表するバイオフィルムの研究者にお集まり頂きました。これまでの経緯から最新研究を学んで頂きますし、宿題報告(中村理事長)、指名報告も予定通り準備しております。特別報告「歯科口腔外科診療における新型コロナウイルス感染リスク」も緊急企画いたしました。

 昨年の第74回集会(新潟)はCOVID-19の感染の拡大に伴い、急遽「抄録学会」に変更になり、大変ご苦労されたことをお聞きしています。今回から新しい学会のスタイルをどのように構築するべきか、他学会からも注目されています。丹沢前理事長や中村理事長の励ましのお言葉もあり、学会活動を萎縮しないように工夫いたしました。ハイブリッド形式ではありますが、ライブ配信を行わず対面講演を重視したエコスタイルで、同意をいただいた特別講演やシンポジウム、セミナーは終了後、オンデマンド配信いたします。そのため参加登録者には有意義な学術集会となるように対応しております。大阪大学主催は平成14年以来となり、顎口腔機能治療学教室が本会を初めて担当する栄誉を賜りました。鋭意準備を行ってまいりましたが、小さな教室での開催で行き届かないところが多々あるかと存じます。できるだけ無駄を省き充実した内容になるよう運営していきたいと思います。
会場ホテルでは三密を避けながら、オリンピック・パラリンピックで導入予定の感染対策用最新機器や国際空港で採用されている除菌対応機器も配備いたします。医学系・歯学系の学会では新しい試みとして人数は限定しておりますが、希望者対象に無料のPCR検査(SARS-Cov-2と歯周病関連菌)も導入し、COVID-19に対する新規口腔ケア用品開発を目指した臨床研究も企画しています。暗い流れを吹き飛ばし、元気を出していただくために学会賞を多数企画させていただきました。会場ではCOVID-19で疲弊した心を癒やすためのミニピアノコンサートも予定しております。
 会員各位におかれましては、大変な時期とは存じますが、新時代の学術集会の挑戦として奮ってのご参加をお待ちしております。会場は新大阪駅と伊丹空港から30分以内という便利な場所にあります。学術大会では十分な感染対策をとりながら議論を大いに楽しんでいただきたいと思います。最後になりますが、ご協力いただいております関係各位の益々のご健勝、ご活躍を祈念いたします。


第75回 NPO法人日本口腔科学会学術集会
会 長 阪井 丘芳
大阪大学大学院歯学研究科 高次脳口腔機能学講座
 顎口腔機能治療学教室 教授
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